Local Fair Trade
持続可能な多文化共生農村づくり
ローカル・フェアトレード
外国人労働者を雇用し環境にやさしい農法に沿って農産品を生産している農家(多文化共生農家)が、地域の多文化食堂やSDGs会社(団体含む)と適正な価格で公正に交易を行うことで、持続可能な多文化共生地域をつくっていくこと。
多文化食堂
外国料理を専門的に取り扱っている食堂で、多文化共生農家が生産した環境にやさしい農産品を食材として利用し、多文化共生の拠点となっている食堂。
SDGs会社
国連が示している持続可能な目標を日常的な活動あるいは生産現場で実現しようとしている会社(団体を含む)。
「くまもと ローカル・フェアトレード」ガイドライン
近年、フェアトレードは、南北間だけの取引でなく、世界の多くの地域で多様なローカル・フェアトレード*として発展し、立場の弱い人たちを支えています。
熊本では、人口減・少子化・超高齢社会が到来し、外国人労働者を受入れる農家が増加しています。支援団体や多文化食堂*・SDGs会社が、担い手不足の農家および言葉や生活・習慣の違いで不安・困難を抱える外国人労働者と共に農村地域ぐるみで支え合う関係づくりを「くまもとローカル・フェアトレード」プロジェクトとして推進していきます。円滑に推進するために、標題のガイドラインを、多文化共生農家と多文化食堂・SDGs会社*(団体を含む)の2つの項目に分けて、それぞれ持続可能な多文化共生基準と環境にやさしい基準*を定めます。
*ローカル・フェアトレード:外国人労働者を雇用し環境にやさしい農法に沿って農産品を生産している農家(多文化共生農家)が、地域の多文化食堂やSDGs会社(団体含む)と適正な価格で公正に交易を行うことで、持続可能な多文化共生地域をつくっていくこと。
*多文化食堂:外国料理を専門的に取り扱っている食堂で、多文化共生農家が生産した環境にやさしい農産品を食材として利用し、多文化共生の拠点となっている食堂。
*SDGs会社:国連が示している持続可能な目標を日常的な活動あるいは生産現場で実現しようとしている会社(団体を含む)。
*以下は、指標ガイドラインで、できる項目から取り組むことを推奨する。
■多文化共生農家*
1. 持続可能な多文化共生基準
〇つくる
外国人労働者を雇用しながら多文化共生・共創を推進している農家(多文化共生農家)が持続可能になるためには、▲適正な価格保障、▲安定的な生産、▲外国人労働者の安定した賃金と安全な労働環境の保障、▲外国人労働者を農村の担い手として育成するためのシステムが確保されなければならない。
① 衛生上問題になる農産物以外は、見た目が悪いという理由で農産物を区別せず、納品する。
② 農閑期に、多文化食材*を栽培する。
③ 日本人・外国人の農業従事者がともに参加する、生活水準を向上するための定期的な話し合いを行っている。
④ 機械や薬品操作に関する安全教育を実施している。
⑤ 外国人労働者も自分が生産した農産品がどこに納品、消費されているか確認できる。
⑥ 外国人労働者が農家の生産主体となるための農業全般に関する教育を実施している。
*多文化共生農家:外国人農業労働者と共に環境にやさしい農法に沿って農産品を生産している農家で、外国の文化と自国の文化の差を認めながら互いの文化を尊重し、共に生きる関係を構築しようとする農家。
*多文化食材:外国料理を作る時、主に使われる食材で、多文化共生農家が生産し、多文化食堂およびSDGs会社が主に消費している食材。
〇くらす
多文化共生は生産現場だけでなく生活現場でも具現される必要がある。安全な生活、安定的な住居空間と共に、公共交通の利用が不便な農村地域での移動手段がきちんと備えられる必要がある。
① 外国人農業労働者が年1回の健康診断を受けている。
② 外国人農業労働者は4.5㎡以上の住居空間とプライベート空間を確保している。
③ 外国人農業労働者の居住空間にWiFiを設置、あるいはsim cardを提供している。
④ 地域生活情報を多言語で提供する。
⑤ 自然災害から命を守るための最新情報を外国人農業労働者が自ら取得できるように外国語資料を提供している。
⑥ 交通機関の乗り方を案内している。
⑦ スーパーなど近隣生活関連の地図を提供している。
⑧ 自転車に関するルールなどの安全教育を実施し、自転車保険に加入している。
⑨ 移動手段として、電動自転車を提供している。
⑩ 2025年の特定技能基準省令の一部改定に準じた地方公共団体との共生施策を取り組む。
(https://www.moj.go.jp/isa/content/001436016.pdf)
〇つながる
多文化共生は互いに対する尊重と理解から出発する。これは農家単位の交流だけでなく、地域コミュニティ内での幅広い交流を通じて互いを大切にして外国人労働者が地域の担い手になることが重要である。このため、外国人農業従事者は十分な日本語教育を受け、地域社会の一員として参加することができなければならず、共に働く多文化共生農家と日本人農業従事者も異文化理解教育を受ける必要がある。
① 農業従事者の誕生日パーティあるいは月1回程度の食事会を行っている。
② 農業従事者が一緒に年1回以上旅行にいく。
③ オンライン日本語教育やスマートフォンで日本語学習ができるように情報を提供している。
④ 外国人農業従事者は、地域の日本語教育に参加している。
⑤ 外国人農業従事者は、地域の交流会やマルシェ等のイベントに年1回以上参加している。
⑥ 日本人農業従事者は、多文化・多言語の教育やイベントに年1回以上参加している。
2. 持続可能な環境にやさしい基準
〇しない
地域での公正で環境にやさしい交易が持続するためには、見た目が悪いという理由で規格外農産品を捨て、食糧ロスを招いてはならない。これは栽培のために使った水とエネルギー資源を浪費する結果をもたらし、廃棄された野菜が焼却処分される場合、これにともなう二酸化炭素と温室効果ガスが発生して環境を汚染させるためだ。あわせて、アレルギーとホルモン異常(人体)、遺伝子汚染と耐性雑草の発生(自然)などを誘発させる遺伝子組み換え栽培をしてはならない。
① 栽培のために使った水やエネルギーなどの無駄遣いにならないように、味や品質に問題がなければ規格外の農産品を捨てない。
② 人体リズムを破壊し自然を汚染させる遺伝子を操作した農産品栽培をしない。
〇減らす
土中の微生物を減らし、土壌の肥沃性を低下させ、収穫量を減少させるだけでなく、人体の健康にも配慮し、農薬と化学肥料、除草剤を減らしてこそ、健康的で環境にやさしい農産品を地域社会に持続的に提供することができる。
① 人体や農産物などに配慮し、農薬を減らしている。(農作業者の健康に配慮し、防御手袋、マスク、服の着用が必須)
② 土壌の微生物活動を低下させ、土壌の肥沃性を損ない、地下水汚染にもつながる化学肥料を減らしている。
③ 健康への悪影響と土壌や生態系への悪影響をもたらす除草剤の使用を減らしている。
〇する
病虫害の発生を抑制し、雑草の生育抑制や節水効果がある点滴栽培をおこない、土壌の微生物活動を活性化させ、土壌を肥沃化させる堆肥と有機質肥料を使って環境にやさしい農業を実施する必要がある。また、農薬と肥料を使用する際にも過多投与が行われないように栽培履歴を記録として残す必要があり、農作物の生育と土壌の健康を促進し、病虫害の発生を予防するために、田畑周辺の排水口の清掃を周期的に実施する必要がある。
① 病虫害の発生を抑制し、雑草の生育を抑制する点滴栽培等を行っている。
② 土壌の微生物活動を活性化させ、土壌を肥沃化させる堆肥と有機質肥料を利用している。
③ 除草剤等の使用を減らし、根こそぎ雑草を除去するため、できるだけ手作業で除草を行う。
④ 農薬や肥料を利用時、栽培履歴を記録する。
⑤ 農作物の生育と土壌の健康を促進し、病虫害の発生を予防するために、田畑周辺の排水口の清掃を定期的に実施する。
■多文化食堂・SDGs会社
1. 持続可能な多文化共生基準
〇 多文化食堂
多文化食堂は、多様な食文化を楽しむ場に加え、同胞の外国人住民が母語で情報交換したり、日本では入手困難な食材などを購入できたり、各外国人住民のコミュニティ拠点となっていることが多い。多文化食堂と多文化共生農家をつなぐことは、外国人労働者が広く同胞コミュニティメンバーと交流、情報交換する機会となり、より快適な生活をおくることができるものと期待される。多文化共生農家の農産品が多文化食堂で活用される流通システムの構築や両者が協力したメニュー開発、また、多文化食堂が留学生など外国人住民の働く場として開かれること、同胞の子どもの母語・母文化習得と日本人の異文化理解の場になることが望まれる。
① 多文化共生農産品を利用したメニューを開発している。
② 留学生スタッフを採用する場合、授業時間に配慮してシフトを運営している。
③ エスニックコミュニティを活性化するための活動やイベントを開催している。
④ 多文化の子供たちにルーツを持っている国の文化や言語教育を実施している。
⑤ 日本人に多文化・多言語関連の活動と教育を行っている。
⑥ 多文化食堂のスタッフと共に地域の多文化共生イベントに年1回以上参加している。
〇 SDGs会社
多文化共生・共創農産品を定期的に購入し、SDGs会社(団体を含む)で働いている外国人と日本人の交流はもちろん、地域の多文化共生関連の交流会に定期的に参加する必要がある。
① 多文化共生農家(ローカル・フェアトレード関連農家)の農産品を定期的に購入している。
② 日本人職員と外国人職員は、年1回以上の自主交流会を実施している。
③ 日本人職員は、外国人職員と地域の多文化共生イベントに年1回以上参加している。
④ 外国人職員の日本語向上のための機会と便宜施設を提供している。
⑤ 日本人職員は、多文化・多言語教育やイベントに年1回以上参加している。
2. 持続可能な環境にやさしい基準
〇 多文化食堂
多文化食堂が環境にやさしい食堂として認められるためには、使い捨て容器と合成洗剤などを使用せず、化学調味料やプラスチック容器の使用量、生ゴミの量を減らす必要がある。その代わりに、紙製品包装材とコンポストの使用、天然塩・無添加調味料などの使用を増やさなければならない。
① 使用済みの油を排水口に流さない。
② 使い捨てコップを使用しない。
③ 合成洗剤を使用しない。
--
④ 化学調味料の使用を減らす。
⑤ 生ゴミの量を減らす。
⑥ プラスチック容器の使用を減らす。
--
⑦ 使用済み油の回収をリサイクル業者に頼む。
⑧ 梱包材は紙製品を利用し、マイバックの利用を勧めている。
⑨ 微生物の力で生ごみなどの有機物を分解して堆肥に変えるためコンポストを使う。
⑩ 天然塩・無添加調味料の使用を増やす。
〇 SDGs会社
SDGs会社(団体を含む)は、省エネ対策、ペーパーレス化、リサイクルの推進、食品ロスの削減、環境配慮型製品の導入などを通じて、持続可能な環境にやさしい取り組みを展開する必要がある。
① 使用しない電気製品の電源を切り、不要な照明を消す。
② プラスチック製の容器やボトルを使用しない。
③ ペーパーレス推進を遅らせるファックスを使用しない。
--
④ 規格外農産品を使って食品ロスを減らし、資源の浪費を減らす。
⑤ 書類準備のための印刷を減らす。
⑥ 梱包材の使用を減らす。
--
⑦ エアコンの適切な温度設定に心がけ、省エネ家電を使う。
⑧ エコマークが表示されている製品を使う。
⑨ リサイクル可能な資源を最大限利用している。