東アジア共生映画祭

East Asia Coexistence Film Festival

企画趣旨

【企画メモ】

ローカル・フェア親密圏へのいざない

東アジアの国境を越える移動が、熊本をはじめとする九州や北海道などでも農業技能実習生を中心に急増している。もちろん技能実習生(移住労働者)が選好するところは農村ではなく大都会である。それゆえ、農村地域で働き手を安定的で持続的に維持するためには、移住労働者を使い捨てではなく、着実に共に生きるパートナーとして認識する必要がある。


持続可能なパートナーとして共に生きていく方法として真っ先に挙げられるのは、法と政策の改善を通じた解決方法、すなわち「公共圏」での包摂過程である。しかし、公共の包摂過程だけでは限界がある。分かち合いと思いやり、共生と共創が作り出す「親密圏」が形成されない限り、農村の働き手探しは事実上その持続性を喪失する可能性が高い。


多文化共生「親密圏」を形成するためには、まずそれが「ローカル」でありながらも「フェア」でなければならない。具体的には、環境にやさしいだけでなく、農業技能実習生を含む移住労働者にもやさしい農産品・農産加工品を生産·消費する関係の形成、すなわちローカル・フェアトレード・システムを構築する必要がある(環境省が発表した「地域循環共生圏」の多文化共生バージョン)。多文化共生の条件を満たした農産品・農産加工品に「多文化共生ローカル・フェアトレード認証ラベル」を付与することも考えられる。今回の映画祭が多文化共生とフェアトレードが結びつけられた新しい熊本モデルを探していく議論と実践の場になってほしい。